日本テニス競技人口の減少を野球やサッカーと比較

「テニス人口が危機的に減っている」という動画をSNSなどで見かけますが「テニスだけが特別に減っているのか」が気になったので、統計データを自分で照合してみることにしました。

調べた範囲では、テニス単体の減少を扱った記事はいくつもありましたが、野球・サッカー・バスケ・ゴルフと同じ基準で比較したものは見つかりませんでした。せっかくなので、その比較をやってみます。

使用したデータと計算方法

次の2つの資料を組み合わせました。

  • 競技人口:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」(全国の成人を対象とした訪問留置法調査、2012・2016・2018・2024年)が発表している「年1回以上、その競技を行った人の推計人口」
  • 日本の総人口:総務省統計局「人口推計」の公式時系列表(各年10月1日現在)

「競技人口」を「日本の総人口」で割った比率は、私自身で計算し直しています。笹川スポーツ財団が発表している「実施率」は、あくまで調査対象である成人人口(18歳以上、2012年のみ20歳以上)に対する割合です。今回は「競技人口が日本人全体(子供も含む)の中でどれくらいの割合なのか」を素直に知りたかったので、総務省の総人口(全年齢)で割り直しました。そのため以下の比率は財団の公表値そのものではなく、総人口ベースで計算し直した参考値です(分母が大きくなる分、財団公表値よりやや小さい数字になります)。

5競技の推移(2012〜2024年)

まず競技人口(実数)そのものの推移です。

テニス・野球・サッカー・ゴルフ・バスケットボールの競技人口(万人)の推移(2012年〜2024年)の折れ線グラフ
テニス・野球・サッカー・ゴルフ・バスケットボールの競技人口(万人)の推移(2012年〜2024年)

ただ、競技人口の実数だけを比べると、そもそも人気の高い競技ほど数字が大きく見えてしまいます。そこで、各年の日本の総人口で割り直した「総人口比」でも見てみます。総人口自体もこの12年でわずかに減っている(後述)ため、実数のグラフとは形が少し変わります。

テニス・野球・サッカー・ゴルフ・バスケットボールの総人口比(%)の推移(2012年〜2024年)

2012年時点では野球・サッカーの方がテニスよりずっと高い水準にありましたが、2024年にはその差がかなり縮まっています。ゴルフは水準こそ高いものの、緩やかな低下傾向はテニスと似た形です。バスケットボールは2016年以降ほぼ横ばいで、5競技の中で最も安定しています。

詳しい数値は下記の通りです。カッコ内は、その年の日本の総人口で割った総人口比です(総人口は年によって異なるため、実数を一律の係数で換算した参考値ではなく、その年ごとに算出した値です)。

2012年2016年2018年2024年
日本の総人口1億2,752万人1億2,693万人1億2,644万人1億2,380万人
テニス302万人
(2.37%)
361万人
(2.84%)
286万人
(2.26%)
251万人
(2.03%)
野球478万人
(3.75%)
351万人
(2.76%)
403万人
(3.19%)
314万人
(2.54%)
サッカー582万人
(4.56%)
383万人
(3.02%)
498万人
(3.94%)
408万人
(3.30%)
バスケットボール非公表255万人
(2.01%)
254万人
(2.01%)
241万人
(1.95%)
ゴルフ(コース)863万人
(6.77%)
744万人
(5.86%)
859万人
(6.79%)
723万人
(5.84%)
出典:いずれも笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」(2012・2016・2018・2024年)、総務省統計局「人口推計」各年10月1日現在。総人口比は筆者が各年の総人口で割り直して算出。バスケットボールの2012年は上位30種目に入らず非公表(男性のみ2.3%と判明)。

12年間で、どれだけ減ったか

2012年を基準にした2024年までの相対的な減少率(総人口比の減り幅)を競技別にまとめると、次のようになります。

競技2012年2024年相対減少率
テニス2.37%2.03%▲14%
野球3.75%2.54%▲32%
サッカー4.56%3.30%▲28%
ゴルフ(コース)6.77%5.84%▲14%
バスケットボール2.01%(2016年)1.95%▲3%(2016→2024年)
相対減少率=(2024年の総人口比 − 基準年の総人口比)÷ 基準年の総人口比。バスケットボールのみ2012年データがないため2016年を基準にした。

意外な結果でした。この12年間で見ると、野球(▲32%)とサッカー(▲28%)の方が、テニス(▲14%)よりもはるかに大きく減少しています。テニスの減少率は、むしろゴルフとほぼ同水準です。バスケットボールは2016年以降のデータしかありませんが、2016→2024年の減少率は▲3%程度で、5競技の中では最も減少幅が小さいという結果でした。

「テニス人口危機」というフレーズだけを見ると、テニスだけが特別に深刻な状況にあるかのように感じてしまいますが、少なくとも今回参照した全国調査・公的統計を見る限り、その理解は正確ではなさそうです。むしろ「野球・サッカーというメジャースポーツも、テニス以上のペースで競技人口を減らしている」というのが、データが示す実態でした。

参考

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