佐藤可士和展で感じた可士和さんの凄さ紹介

国立新美術館で開催されている佐藤可士和展に行ってきました!
クリエイティブディレクターとして数々のヒット作品を生み出し続けている佐藤可士和さんを取り上げます。

佐藤可士和さん

多摩美術大学を卒業して博報堂で11年間働いた後、2000年に独立してクリエイティブスタジオ「株式会社SAMURAI」を設立しました。独立して最初の仕事がSMAPのプロジェクト(CDジャケットのデザインや広告などコミュニケーション戦略全般)であり、その後もユニクロやセブンイレブンを始め誰もが見たことがあるロゴを数多く生み出してきました。

企業のロゴなどを手掛ける一方で佐藤可士和さん自身もアート作品を生み出しています。

Flow
Flow


「Flow」は青い絵の具と白いキャンバスから、スプラッシュ・ペインティングと呼ばれる手法で生み出されています。躍動感の感じられる絵はとてもカッコいいです。

LINES
LINES


「LINES」は赤・青・シルバー3本の直線のみで描かれています。自然界にない完全な直線を用いることで、シンプルで洗練されたデザインが生み出されています。企業のロゴにおいても、長く使われるためにはこの洗練されたシンプルさが大事だそうです。

佐藤可士和展

駅の佐藤可士和展の広告
国立新美術館のロゴ

国立新美術館のロゴを製作したのも佐藤可士和さんです。国立新美術館の「これまでにない新しいあり方」がコンセプトだそうです。
作品の一つ一つも素晴らしいものだと思いますが、今回の展示ではそれらが組み合わさることで「新しい空間」が生み出されていました。展示の魅せ方に着目してみても面白いです。特に気になったものを載せます。

キリンチビレモン
とにかくどの展示も大きくて写真に納まりきらない!
「キリンチビレモン」(上段黄色)、全然小さくない
Flowシリーズ
「Flow」シリーズ
壁に張り付いたセブンイレブンの商品
ボルダリングジムのようだが、壁に付いているのは
全てセブンイレブンの商品
ALFALINKのAR
相模原に建設中の大規模物流施設「ALFALINK」
AR技術によって完成図が見える

凄さ①:対象の本質を見抜く

佐藤可士和さんの凄いところは、顧客自身が求めているものを引き出して形にする点です。今回は特に「ふじようちえん」についてご紹介させていただきます。

ふじようちえん
ふじようちえん

立川にあるふじようちえんは園舎が老朽化したため、2007年に佐藤可士和さん監修のもと新園舎が竣工しました。新しい園舎の構想として園長先生は「おじいちゃんおばあちゃんが通えるようにしたい」「馬を飼いたい」「結婚式を挙げられるようにしたい」、といったたくさんのアイデアを考えましたが、自身の考える理想の園舎というものが定まりませんでした。
園長先生の希望を叶えるために佐藤可士和さんが出した答えは「園舎そのものをひとつの大きな遊具」とすることでした。遊具が無ければそれと分からないような幼稚園の数々を見る中で、自由自在に発想する子供たちが遊ぶのに必要なのは遊具という「物」ではなく、遊ぶ「場」であると考えました。そのような「場」は園長先生のあふれ出るアイデアも受け止めてくれるだろうと。
新しい園舎は建築家の手塚貴晴・由比さんらによって設計されました。ウッドデッキにされた楕円ドーナツ状の屋根の上は、自然に子供たちが駆け回る遊び場となっています(佐藤可士和展の公式YouTubeチャンネルで経緯が分かりやすく紹介されています。)
手塚貴晴さんは、様々なアイデアのプレゼンテーションが行われることで有名なTEDの舞台で「ふじようちえん」について講演しております。元気に遊ぶ子供たちを可愛らしく例えるなど、飽きさせない工夫が詰まった面白い講演なので、是非一度聴いてみると良いと思います。

凄さ②:自分の「好き」を見つける

GOETHE(2021年3月号)

ゲーテ(GOETHE: 2021年3月号)という雑誌で佐藤可士和さんはこれまでの作品や自身の幼少時代について語っています。佐藤可士和さんは顧客の課題解決をするという点では芸術家というよりもコンサルタントを行うクリエイターです(インタビュー記事で本人も述べられています。)
雑誌には佐藤可士和さんの幼少時代なども書かれていますが、「普通の人と全く異なる幼少時代を過ごしてきた」というわけではないようにも感じました。佐藤可士和さんのクリエイティブさはどのようにして生まれているのでしょうか?
有田工高での特別授業では何かにハマることの大切さについて佐藤可士和さんが語っています。佐藤可士和さんが小学生の頃アディダスのロゴが好きで教科書やノートに自分でロゴを描いていた話や、パンクが好きという話は様々なところで語られていると思います。ただし、例えばパンクが好きな方というのは佐藤可士和さんに限った話ではないと思います。
特に佐藤可士和さんのようなクリエイティブさを生み出しているのは、「好き」を見つけ出す才能だと私は思います。その例として「剣道」のエピソードを紹介します。きっと幼少時代から芸術に触れてきたのだろう、そう思っていた自分にとって佐藤可士和さんが小1から7年間剣道を習っていたということは意外なことでした(雑誌参照)。私自身も小学生時代ずっと剣道をやっており、日々の練習では頭を何度も叩かれて痛いので「練習行きたくないな~」と毎回思っていました。あんな練習を佐藤可士和さんが経験しているイメージが湧きませんでした。
すると意外にも佐藤可士和さんは剣道の変わった楽しみ方をしていました。雑誌には
『いつも早めに行って、誰もいない広い板張りの道場の真ん中に寝転んで高い天井を眺める』
と書かれておりました。佐藤可士和さんは道場という空間が好きだったそうです。
ただただ辛いと感じているだけだった自分と違い、佐藤可士和さんは自分なりに楽しんでいたようです。(佐藤可士和さんも剣道の練習自体は嫌いだったようですが笑)
ちなみに自身の名前の「士」をきっかけに「SAMURAI」という名前を思いついたそうです。

終わりに

楽天パンダの標識
楽天のロゴも佐藤可士和さんが手がけています。

まだまだたくさん紹介したいのですが、佐藤可士和さんが生み出してきたものは多すぎて語り切れません。相手の「好き」も自身の「好き」も大切にする佐藤可士和さんの生き方はとてもカッコいいと思いました。

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