柿喰う客「滅多滅多」の考察〜悪魔祓いは敵か味方か?

滅多滅多展示

千秋楽に柿喰う客の公演「滅多滅多」を観てあっという間にその世界に引き込まれました。

その解釈が分からなくて、オンラインで何度も公演を見返すほどにはまったのでその内容を考察します。

「滅多滅多」公演チケット
「滅多滅多」公演チケット

柿喰う客

本多劇場
本多劇場

柿喰う客は、中屋敷法仁さんが脚本・構成・演出を手掛ける2006年発足の劇団です。舞台は本多劇場で行われました。以前友人に誘われて観た別の劇団の舞台では小さな部屋にパイプ椅子が並べられているだけのような環境だったので、ホールでの公演は劇団としては比較的大きな規模だと思います。

滅多滅多

小学校の生徒と教師、そして学校の七不思議にまつわる世界のホラーストーリーです。
小学校5年生の五輪瑠呼(いつわるこ:永田紗茅)という女の子が副担任によって乱暴されて亡くなりましたが、証拠不十分で副担任は逮捕されませんでした。同級生たちはこっくりさんによって彼女の霊を呼び出して本当のことを尋ねますが、彼女は副担任のことが好きだったと偽りました。同級生はこっくりさんに対して「嘘つき!」と言ってしまいますがこれはタブー、同級生たちも呪いで自死してしまいます。彼女は同級生たちと一緒にいたくて、わざと嘘つき呼ばわりされて同級生たちも死に追いやったのでしょう。この舞台でキーワードになってくるのが「ファーストキス」なのですが、彼女はキスを経験しないままに亡くなりました。悪魔祓い(田中穂先)が彼女の霊を呼び出し、彼女のキスをしたいという願いを叶えてあげる(成仏か)という大まかな流れだと理解しました。ここまでの描写は後にこの事件現場にやってきた大学生たちが映画撮影のために再現していたものだと後半で言われています。設定がよく分からないですが、悪魔祓いの霊が大学生(田中穂先)に憑いていると自分は解釈して観てました。

滅多滅多の考察

滅多滅多は恐らく観る人によってとらえ方は異なってくると思います。
私自身は滅多滅多は、五輪瑠呼の物語というよりも、伊笠真白(田中穂先)という教育実習生が悪魔祓いとして分離して呪いから逃れようとする物語なのかな、と感じました。
悪魔祓いは教育実習生伊笠真白として劇中で五輪瑠呼の霊の記憶の中に登場しますが、「地獄の底からこんにちは。この世の果てまでご招待。」という名セリフが印象的ですが、その正体は明かされておりません。地獄から来ていて超常的な霊能力を持っている悪魔祓いは閻魔様みたいなものでしょうか?
五輪瑠呼の同級生たちをこっくりさんの世界に引き込んだのは、こっくりさんに取り憑かれた矢尾町叶菜先生(葉丸あすか)であり、伊笠真白は矢尾町先生の元教え子になります。伊笠真白は矢尾町先生のことが好きであり、矢尾町先生にはこっくりさんに頼らない正しい教育を行ってほしいと考えていました。そこで伊笠真白は自身が持つ悪魔祓いの能力によって矢尾町先生とこっくりさんを切り離しました。しかしながら、こっくりさんが自身の人生でもあった矢尾町先生はそのことを恨み、伊笠真白に「ムラサキカガミ」の名前を告げました。
「ムラサキカガミ」は学校の七不思議の一種として出てきます。例えば、トイレの花子さんも七不思議の一種です。「ムラサキカガミ」の名前を憶えたままだと20歳になる前に死ぬという呪いがあるそうです。
教育実習生として母校にやってきた時には伊笠真白は19歳、余命が一年に迫っていました。その時点でも「ムラサキカガミ」のことを忘れられずにいました。実は矢尾町先生にその名を告げられた時、同時に「ファーストキス」を経験させられていたのです。
そこで伊笠真白がとった行動こそ、五輪瑠呼の霊に「ファーストキス」を経験させてあげるというものです。
最初舞台を観たときに疑問に思ったのは、劇中で五輪瑠呼が生きてようが死のうがどうでもいい、的なことを発言している伊笠真白が、五輪瑠呼の霊にファーストキスを経験させてあげる「慈善活動」のメリットは何があるのか、という点です。伊笠真白は「ムラサキカガミ」の記憶ごと五輪瑠呼の記憶の中という、遠い世界に組み込むことで自身の呪いから逃れようとしたのだと思います。推測ですが、伊笠真白は五輪瑠呼の記憶の中に「ファーストキス」の経験を塗り込ませることによって、自身の「ファーストキス」の記憶をかき消そうとしたのではないでしょうか?
伊笠真白という記憶は遠い世界へと追いやられますが、その後戻ってきた悪魔祓いは自分の名前が思い出せなくなっていました。名前が思い出せないと生き返ることはできません。教員や五輪瑠呼とその同級生たちを呼び寄せて盆踊りを始めています。これらの霊たちは全員地獄行きなのでしょうか。
最終的には悪魔祓いは「腹が減ったぜ」と言っております。死んだあとは腹が減らなくなるので、この発言は悪魔祓いが生きていることを暗示しているのかなと思いましたが、その発言をした後の悪魔祓いの表情は優れません。腹が減らないにもかかわらず腹が減ったと強がって、生き返れない現実から目を背けようとしているのではないでしょうか・・・

印象に残った言葉

  • 「地獄の底からこんにちは。この世の果てまでご招待。」
  • 「お願い教えてこっくりさん!」

一週間経っても生で聴いた印象が未だに頭の中に強く残っています。忘れたくても忘れられません笑。せっかくなのでどこかでこの言葉を使いたいのですが、使うタイミングが分かりません。

柿喰う客「滅多滅多」に関してはSPICEでも写真付きで取り上げられているので、興味のある方はそちらもご覧ください。

まとめ

今回は千秋楽の劇場公演とオンライン公演を何度も見て、それでも難しい「滅多滅多」という作品について考察しました。自分自身まだよくわからなくてもやもやしている部分が多いので、他の方の考察記事も読んでみたいです。

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