休日に何をして過ごそうか
社会人になってしばらく経ちますが、休日の過ごし方には未だに悩むことがあります。仕事に追われて時間がないわけではなく、むしろ時間の使い方は自由なはずなのに、その自由さがかえって「何をすればいいのか」を分かりにくくしているように感じます。
趣味の選択肢自体は、探せばいくらでもあります。新しい趣味を始めてみても、なんとなく続かずに終わってしまうものもあれば、気づけば何年も続けているものもあります。この差はどこから来るのだろうと考えているうちに、自分の趣味の好き嫌いには、ある共通したパターンがあることに気づきました。(すべて私の主観です)
振り返ってみると、続く・続かないを分けているのは、比較のプレッシャー・過程の楽しさ・機会の生まれやすさという3つの要素のようでした。順を追って、自分の趣味を並べながら考えていきます。
まずは自分がこれまで手を出してきた趣味を、好き・嫌い・続いた・続かなかったという観点で並べてみました。
続いているもの:テニス
大学時代に始めたテニスは、社会人になった今も続いています。試合に負けることもよくありますが、それほど落ち込みません。うまくなりたい気持ちはありますが、小さい頃からずっと続けている人と同じ土俵で比較する必要はないと思えるので、負けても「まあ仕方ない」と思えます。最近はスクールの上級クラスに昇級し、今後の目標を考えているところです。
それに加えて、テニスはスクールのレッスンや草トーナメントなど、練習や試合の機会が向こうからやってくる趣味でもあります。だから続けやすいのだろうと感じています。
続いているもの:ブログ
テニス以外にも、続いていて良かったと思っているものがあります。このブログを書くことです。(ただ、毎週書いているわけではなく、何か月も書かない時期を挟みながら休み休みですが)
書きながら自分の考えを整理すること自体に満足感があり、結果よりも過程に楽しさがあるのだと思います。機会の面では、自分から書こうと思わない限り更新されない趣味ですが、日々の生活の中で気づいたことがそのままネタになるので、機会をゼロから作るハードル自体はそれほど高くありません。
※余談ですが、仕事も何かを新しく生み出すという意味では、ブログと同じく自己表現の一種なのかもしれません。
勝ち負けにこだわってしまうもの:ボードゲームや将棋
一方で、友人に誘われて何度かやってみたものの、あまり気が進まないのがボードゲームです。将棋や囲碁のような、純粋に頭の使い方だけで勝敗が決まるゲームも同様です。
理由を考えてみると、学生時代からずっと勉強を頑張ってきて、成績や受験という形で長く評価され続けてきたことが関係しているように思います。負けたくないという気持ちが人一倍強く出てしまい、勝敗にこだわらず気楽に楽しむことが難しく、テニスの負けとは悔しさの質が違う気がしています。
例えば、将棋もコンピュータ相手のアプリでなら楽しめるかもしれないとも思っています。対人だと「負けたくない」が前面に出ますが、相手がコンピュータだと「練習・パズルを解く」感覚に近づくのかもしれません。
なんとなく好きなもの:カラオケ
逆に、気楽に楽しめている趣味としてカラオケがあります。歌のうまい下手はあるにしても、声は人それぞれ違うので、そもそも他人と直接比較できるものではありません。自分の声を活かして楽しめればそれでいいので、変に気負わずに楽しめているのだと思います。
続いているもの:登山とガーデニング
登山とガーデニングも、続いている趣味です。どちらも比較の要素が少なく、登山は景色を見ながら歩く過程自体が、ガーデニングは日々の世話をすること自体が楽しいので続いています。ガーデニングは水やりなど日々のちょっとした手入れが自然に機会を生んでくれますが、登山は天候や休日の兼ね合いで機会がやや限られます。
好きだったもの:マリオカートとどうぶつの森
マリオカート8デラックスは、発売直後はほぼ毎日やるくらいハマっていました。ただ新作の「マリオカート ワールド」は、8デラックスほど極めるまでには時間を割かなくなりました。理由ははっきりしませんが、他の趣味が増えたことに加え、対戦の勝ち負けによるストレスも一因かもしれません。対人の優劣にこだわってしまう点は、ボードゲームと同じ構造なのかもしれません。
一方、どうぶつの森は対戦・勝敗の要素がないので、一時期は夢中になりましたが、今はたまに少しやる程度です。島づくりの自由度が高すぎて、例えば東大の赤門を再現したいと思っても素材が見つからず実現できないまま止まってしまうこともありました。加えて、ゲーム内に期限が一切なく、一緒にやる友達もいなかったことが、続かなかった理由だと思います。この「友達がいれば続いたかもしれない」という感覚は、マリオカートにも共通するかもしれません。
試したけれど合わなかったもの:ボルダリングとフットサル
ボルダリングとフットサルも実際にやってみたことがあります。ボルダリングは「登るだけ」という単調さにあまり面白さを感じられず、過程を楽しむ余地が少なかったのだと思います。フットサルは、狙ったところにボールを蹴る技術がなく楽しめませんでした。これは球技を始める上での技術的なハードルで、ある程度思い通りにボールをコントロールできるようになれば楽しくなると思いました。
最後まで楽しくなかったもの:剣道と水泳
小学生の頃、剣道と水泳を習っていた時期がありました。どちらも最後まであまり楽しいと思えないまま終わってしまった記憶があります。
剣道は、一本を取る・取られるという結果ばかりが強く意識されて、テニスのラリーの応酬のような、過程自体を楽しむ感覚があまりなかったように思います。水泳はさらに、対戦相手すらいません。結局は自分との闘いで、タイムを縮められるかどうかだけが指標になります。振り返ると、対人で比較されているわけではないのに、自己ベストというタイムに絶えず晒され続けるのは、対人比較と同じくらい気が重かったのだと思います。学生時代の長距離走も同じように楽しめなかった記憶があり、社会人になってから自分からマラソンをやってみようと思ったことは一度もありません。
並べてみて見えてきた、3つの軸
冒頭で触れた3つの軸について、ここから順に見ていきます。
軸1:比較のプレッシャー
1つ目は、対人か対自分かを問わず、勝敗やタイム、スコアで比較され続けることへのストレスです。対戦相手がいなくても、自己ベストというタイムに絶えず向き合わされる「自分との闘い」も、私にとっては対人比較と同じくらい楽しくない要因でした。
軸2:過程の楽しさ
2つ目は、結果がどうなっても、それ自体を楽しめるかという軸です。剣道は、一本を取る・取られるという結果ばかりが強く意識されて、過程を楽しむ感覚があまりありませんでした。私にとって水泳やマラソンも、「ただ前に進むだけ」という感覚が強く、過程自体を楽しむ余地があまりありませんでした。
これに対してテニスのラリーの応酬、ブログを書きながら考えを整理すること、カラオケで歌うことは、結果がどうなっても、それ自体が楽しいものです。結果だけを目的にしているか、過程そのものに楽しさがあるかという違いは、続けやすさにかなり効いているように感じます。
軸3:機会の生まれやすさ
3つ目は、趣味をやる機会が自分の外側から自然に生まれるかどうかという軸です。テニスのように、練習日やレッスン、大会といった形で機会が向こうからやってくる趣味は、特に意識しなくても続いていきます。反対に、自分から能動的に機会を作らないと始まらない趣味は、次第に持ち出す頻度が減り、そのまま定着しないまま終わってしまいがちです。どうぶつの森のように期限も一緒にやる人もない趣味も同様で、スケジュール上の区切りや一緒にやる人の存在も、外部から機会を作ってくれる要因なのだと思います。同じことは読書にも言えて、好きなのに期限がないため習慣として定着しません。筋トレは、学生時代は大学のジムが近く続けやすかったのですが、環境が変わった今は機会が減っています。
この3つの軸で自分の趣味を整理し直すと、次のようになります。
| 趣味 | 軸1:比較のプレッシャー | 軸2:過程の楽しさ | 軸3:機会の生まれやすさ | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| テニス | 中(勝敗にこだわりすぎない) | 高 | 高 | 続いている |
| ブログ執筆 | 低 | 高 | 中(ネタは生活の中にある) | 続いている |
| ダンス | 中 | 高 | 高(レッスンが定期的にある) | 続いている |
| カラオケ | 低 | 高 | 中〜高 | 好き |
| 登山 | 低 | 高 | 中(天候・休日次第) | 続いている |
| ガーデニング | 低 | 中〜高 | 高(世話がルーティン化) | 続いている |
| 読書 | 低 | 高 | 低(期限がない) | 好きだが不定期 |
| 筋トレ | 低 | 中 | 環境次第(学生時代は高、今は低) | 学生時代は継続、今は途絶えている |
| マリオカート | 高 | 中 | 中(一緒にやる人次第) | 新作は続いていない |
| どうぶつの森 | 低 | 中 | 低(期限なし・一人だと薄い) | 一時期夢中→今は落ち着いた |
| ボードゲーム・将棋 | 高 | 中 | 低〜中 | 勝敗にこだわって楽しめない |
| 写真 | 低 | 中 | 低 | 旅行の頻度が低く機会が少なかった |
| 剣道 | 高 | 低 | 高 | 楽しくなかった |
| 水泳 | 高 | 低 | 高 | 楽しくなかった |
| ゴルフ | 中 | 中 | 中(自分で予約が必要) | 比較のプレッシャーはやや高そう |
| ボルダリング | 低〜中 | 低 | 機会以前の問題 | 単調に感じて続かなかった |
| フットサル | 中 | 中 | 中 | 技術のハードルで楽しめなかった |
図には、自分の主観で他の人気の趣味もいくつか加えてみました。図では比較のプレッシャーと過程の楽しさの2つだけを軸にしていて、機会の生まれやすさは表現しにくいので表の方で補っています。
テニスは機会が向こうからやってきますが、ブログ執筆は日々の気づきがそのままネタになる分、機会を作るハードルは比較的低いという違いがあります。
3つの軸での趣味選び
この3軸は、自分の趣味遍歴を説明するために整理したものですが、他の人が「趣味が続かない」と感じるときにも当てはまる部分が多いのではないかと思います。
例えば、新しく始めた趣味が続かないと感じたときは、次の3つを振り返ってみると、原因が見えてくるかもしれません。
- その趣味は、対人か対自分かを問わず、勝敗・タイム・スコアでどれくらい比較にさらされるか(軸1:比較のプレッシャー)
- 結果がどうなっても、その過程自体を楽しめるか、それとも結果に到達することだけが目的になっているか(軸2:過程の楽しさ)
- その趣味をやる機会は、自分で意識しなくても定期的にやってくるものか、それとも毎回自分から作りにいく必要があるものか(軸3:機会の生まれやすさ)
軸1が高い趣味でも、テニスのように距離感を意識的に作れれば負荷を軽くできるかもしれません。軸2が低い趣味は、結果への強いモチベーションがない限り長続きさせにくく、軸3が低い趣味は、教室やコミュニティなど外部から機会が与えられる仕組みに持ち込めるかを意識してみると良さそうです。
自分のレベルに応じて快適ゾーンも動く
ここまでテニスを「続けやすい趣味」の代表として書いてきましたが、最近になってもう一つ気づいたことがあります。快適ゾーンは、上達の度合いによって動く場合がある、ということです。
テニスを始めたばかりの頃は、そもそもボレーの打ち方すら分からないなど、戦術以前の段階でした。意識はもっぱら技術そのものを身につけることに向いていたので、軸1(比較のプレッシャー)の問題が表に出てくる余地自体がなかったのだと思います。フットサルが楽しめなかったのも、狙ったところに蹴るという基礎技術自体をまだ越えられていなかったからかもしれません。
ところが、ある程度ショットが打てるようになってくると、試合の中で戦術や駆け引きの比重が増えてきました。そこで気づいたのは、戦術を考えるときについ「負けたくない」という捉え方をしてしまいがちで、これが軸1(比較のプレッシャー)を高めてしまうということです。
そこで最近は、「負けたくない」ではなく「良いラリーを組み立てたい」というパズル的な捉え方を意識するようにしています。同じ戦術を考える行為でも、勝ち負けという結果ではなく、組み立てそのものを楽しむ意識に切り替えることで、軸2(過程の楽しさ)を保ったまま楽しめている感覚があります。
この経験から、趣味の快適ゾーンは固定的なものではなく、向き合い方を意識的に選ぶことである程度動かせるものなのかもしれないと考えるようになりました。上達で質が変わる趣味ほど、結果より過程に焦点を当て直す意識が、続けるコツになりそうです。
達成目標理論:どこを目指すか
ここまで書いてきたのは、あくまで私個人の傾向です。世の中には将棋やボードゲーム、マラソンや剣道を心から楽しんで続けている人もたくさんいます。心理学には、Nicholls, J. G.が1984年に学術誌Psychological Review(91巻3号)で提唱したとされる「達成目標理論」という枠組みがあり、人の目標を「熟達目標(課題志向)」と「遂行目標(成績志向・自我志向)」に分けて説明します。日本語のレビューである村山航「達成目標理論の変遷と展望」(『心理学評論』2003年、46巻4号)によれば、熟達目標(課題志向)は自分の成長・習熟そのものを目標にするタイプで、失敗してもモチベーションを維持しやすいとされています。一方、遂行目標(成績志向・自我志向)は他者と比較して自分の有能さを示すことを目標にするタイプで、失敗すると自己の能力への自信が下がりやすいとされています。私の知人にも、球技は苦手だけれど陸上のような個人競技はずっと続けている人がいますが、これは球技のようにその場で失敗が周囲に見える種目と、自分のペースで記録を追う種目との違いなのかもしれません。今回の3つの軸は、達成目標理論とも重なる部分があると思いました。
まとめ
自分の趣味の好き嫌いを振り返ってみると、続く・続かないは「比較のプレッシャー」「過程の楽しさ」「機会の生まれやすさ」という3つの軸でかなり説明できるように感じました。
もし今、休日の過ごし方や新しい趣味選びに悩んでいる方がいれば、興味のジャンルだけでなく、この3つの軸で今の趣味やこれから始めようとしている趣味を眺めてみると、なぜ続かなかったのか、何を選べば続きやすいのかが、少し見えやすくなるかもしれません。





